山陽電車(山陽電気鉄道・サンデン)高砂駅前に降り立つと都会暮らしに慣れた方は「何もない。」と驚かれるだろう。勿論、日々の買い物で不自由するほどではない。ただ、場所によっては自転車が大活躍したり、夜間に高輝度LEDライトが無いと怖い思いをするかもしれない。この土地になれるまでは不自由と思うだろうが、慣れた頃には好きになっているはずだ。ガイドブックで紹介されていないが景観形成地域に指定される街並みもあり、とにかく静かなエリアだ。高砂には三菱重工業や神戸製鋼などの大企業がいくつもあるのに繁華街はない。通常なら企業城下町になっていても不思議ではない。山も海もあり、自然環境にも大変恵まれている。近隣には姫路、加古川、明石、神戸などがある。居住地には華やかさを求めない方が生活するには大変適したエリアである。仕事のある平日は通勤に便利な高砂やその近隣で暮らし、休日は市内の低山登山や歴史探訪を楽しめる。少し足をのばせば知名度全国区の姫路、神戸、大阪、京都、奈良などで観光やショッピングも楽しめる。あの淡路島や有馬温泉も気軽に行けるのである。高砂で働く人は、関東の人から見たら、結構贅沢な生活が待っている。
★数年前まであった西友を中核としたショッピングセンターSUN MAL
2.山陽電車沿線は家賃が安め
高砂市内の工場勤務なら、山陽電車沿線に住むのがおすすめだ。とにかく家賃が安い。転勤者の場合、家賃は会社がある程度負担するだろうから、実際に家賃は気にならない方も多いだろう。社宅に入らず自分で物件を探す場合、山陽電車のエリアでは、会社の家賃上限を超える様な物件はまずない。一人暮らしでも家族向け物件でも同じだ。JR姫路駅、明石駅、舞子、三ノ宮あたり以外は、おおむね家賃は安めだ。戸建てが多いエリアが多いので、賃貸物件は少ない場所も多い。開発が進む姫路側は人気が高い。神戸方面なら明石あたりから家賃は上がる傾向にある。ただ明石から神戸までの途中にも安いエリアがある事を覚えておくとよい。当たり前だがJR西日本との接続駅周辺は家賃は高め。海に近い、山に近いエリアも賃貸物件はあるが、自然災害も想定して家は探したほうが良い。
★山陽電車・高砂駅前通り 飲食店が多い
3.不動産業者とネットでの物件探し
物件探しはネットか?不動産業者へ行くのが一般的だ。注意したいのはネットで探す情報と不動産業者の店頭での情報は、加盟しているネットワークでほぼ決まる。加盟しているネットワークが同じなら同じだ。このことは異なる不動産業者でも同じネットワークに加盟している場合は、掲載情報はほぼ同じである。つまり物件探しで複数件訪問する場合、異なるネットワークに加盟している不動産業者へゆく必要がある。店舗間で差が出るのは店舗が独自に持っている情報や自社管理物件だ。これは店舗にきたお客さんのため、ネットに掲載していない物件情報を確保しているからだ。このため、住みたいエリアがある場合、その土地の不動産業者もあたったほうが良い。
4.ペットがいる場合、賃貸物件は限定されるペットは家族!と言ったところで、他人から見れば、ペットはペットでしかない。特に猫と暮らしている方は、引っ越し先にはなかなか恵まれない。私の家がそうだった。不動産会社の案内には「ペットと暮らせる!」の文字や「ペットと暮らせる物件コーナ」などがある。しかし、多くの場合、ペットとは「犬」を指しており、猫は断られることがほとんど。ペットOKの物件は家賃が5,000円ほど加算されたり、賃貸契約のほかにペットにかかわる覚書などを書かせられるのが一般的だ。退去時も結構な金額を請求されるので、これから飼うことを考えている方は、この事を頭に入れておくとよい。ちなみにペットと暮らせる物件でも1匹までが一般的。それと鳴き声や走り回る音で近隣とトラブルもある。最悪は退去を要求される場合もあるので近隣住人は確認してから借りるべきだ。賃貸物件は騒音対策など期待できないので特に注意が必要だ。そのほか、物件の近隣の学校や病院、交通機関はもちろん、治安や自然災害歴などについても確認しておくとよい。
5.高砂は自然災害が少ない
神社やお寺のある場所は自然災害は少ないと言われている。高砂にも神社等は多くあり実際、自然災害は非常に少ない。阪神淡路大地震の時も被害はほとんどなかった。また2018年7月の岡山県や広島県に大きな被害をもたらした豪雨は記憶に新しいが、このエリアの被害はなかった。同じ兵庫県でも豪雨により被害のあった地域もあったが、高砂エリアは被害を受けることはなかった。ただ、海抜は低いため、古くは一部のエリアで水没した歴史がある。
★高砂神社
6.高砂の個性あるエリア
(1)高砂エリア
このエリアは歴史が好きな方ならとても楽しいエリアだ。交通機関は山陽電車(山陽電気鉄道・サンデン)の高砂駅がある。この駅は約7000人の乗降客数がある。高砂駅前にはかつて国鉄高砂線・高砂北口駅があった。この国鉄・高砂線は播州鉄道の一部だった。この高砂線は1914年には加古川駅と高砂港間の全線が開通となったが1984年10月30日で廃業となった。JRの駅がなくなってしまった事は、その後の高砂の町の発展に大きく影響したといえる。結果、開発が進まず古き街並みが残ったともいえるが、非常に残念ではある。
★高砂港近くにある銭湯

旧市街地の古い運河沿いには、白壁の倉庫が並んでいて、これは堀川と呼ばれている。東京から来た方にはなじみのあるかつての東京都知事の美濃部さんの父である美濃部達吉の生家もあったりする。あの有名な高砂神社もこのエリアにある。この高砂神社の秋祭りは人気が高く、一度は見てほしい。
十輪寺や教育の原点といわれる申義堂、蔵などが見られる。この地域は錆びれてみえるが、街を歩いてみれば、その魅力がわかるはずだ。白砂青松とうたわれた海岸もこちらのエリアにある。
街中を歩いていると、文化庁登録有形文化財の古民家である花井家住宅がある。ここは現在、地域活性化交流拠点として活用されている。また、個性のある飲食店が点在しているので、それらを探すのも楽しい。繁華街ではないので飲食店の数は点在程度だが、どこも美味しいと人気がある。山陽電車の高砂駅からの徒歩がおすすめ。
★私が最も好きな街並みのあるエリア

(2)荒井・伊保エリア
海側に工業地帯、山陽電車の荒井駅~山陽曽根駅まであたりのエリア。山陽電車では伊保駅がある。法華山谷川には竜ヶ花、鹿島川は桜の咲くころは花見が楽しめる。また山陽電車の曽根駅近くには曽根天満宮がある。曽根天満宮は学問の神様といわれる菅原道真が祀られている。特に海側は日本有数の工業地帯が広がっている。山陽電車の駅では荒井駅になる。この駅は高砂駅の隣に位置し、乗降客数は約11,000人ほど。一般の方に親しみのあるキッコーマン食品(株)、サントリープロダクツ(株)などの高砂工場がある。これらは工場見学も可能だ。また女性には特に人気のコエンザイムで有名なカネカ(株)や三菱重工業(株)三菱日立パワーシステムズ(株)、神戸製鋼(株)高砂製作所などがある。余談だが、隣接する神戸製鋼(株)加古川製作所は、安倍総理大臣がサラリーマン時代を過ごした工場である。荒井もまた、とても静かなエリアだが、立ち並ぶ工場の実力は結構派手だ。例えば、世界の電力供給を担う世界最高率の大型ガスタービンは、ここ高砂の三菱日立パワーシステムズで製造されている。現在、三菱重工業(株)、神戸製鋼、サントリープロダクツ(株)が立ち並ぶ広大な敷地は、戦前までは陸軍大阪砲兵播磨製造所があった。ここは東洋一の規模を誇っていたそうだが、戦後に民間へ払下げされ現在にいたっている。
★山陽電車・伊保駅

(3)竜山・米田エリア
「何これ~」誰もが驚く石之宝殿(生石神社)があるのはこのエリアだ。JR西日本・宝殿駅を最寄り駅とする石之宝殿(生石神社)は宮城県にある御釜神社の四口の神釜、宮崎県にある霧島東神社の天之逆鉾と並ぶ日本三奇の一つである。石之宝殿(生石神社)が造られた目的は不明である。しかし宙に浮いている大きなモニュメント?を見れば、誰もがこのあたりの歴史への関心が深まると思う。
★JR西日本・宝殿駅
(4)阿弥陀・中筋エリア
このエリアでの一押しは、やはり高御位山。名前からして皇族とつながっているのでは?と思うのは私だけだろうか?高御位山は播磨富士とも呼ばれ、気軽に低山登山を楽しめると人気が高い。
★JR西日本・曽根駅 駅舎内は懐かしい造りだ
(5)曽根エリア
この エリアには山陽電車・曽根駅もある。JR西日本の曽根駅もあるが接続はしていない。つまりこの二つの駅は離れているということである。山陽電車・曽根駅から数分のところに菅原道真を祀る曽根天満宮がある。この周辺はレトロな雰囲気を楽しめる街並みがあり、今では珍しいラムネの工場があったりする。また曽根は高砂市のお花見スポットとしても知られている。低山登山で人気の高御位山の麓から流れこむ鹿島川の両岸には桜並木があり花見のシーズンには夜間も楽しめるお花見スポットだ。★山陽電車・山陽曽根駅